有機栽培と自然栽培の違いがわからず、どちらを選べばいいか迷っていませんか?
どちらも「農薬や化学肥料を使わない自然な農法」として注目されていますが、考え方や栽培方法には大きな違いがあります。
この記事では、有機栽培と自然栽培の特徴をわかりやすく整理し、それぞれのメリット・デメリットや向いている人の違いを解説します。
食の安全性や環境への配慮に関心がある方、自分や家族に合った農産物を選びたい方に向けて、選び方のヒントをお届けします。
有機栽培とは?
まずは有機栽培について、基本的な考え方や特徴を見ていきましょう。
有機栽培とは、化学的に合成された農薬や肥料を使わずに、自然に近いかたちで農作物を育てる栽培方法のことです。
日本では、有機JAS認証という国が定めた基準を満たした農産物にのみ、有機やオーガニックと表示することが認められています。
そのため有機栽培と名乗るには、一定のルールに沿って農業を行い認証を受ける必要があります。
有機栽培や自然栽培を理解するうえで、無添加やオーガニックの違いも気になるところ。実際の選び方に迷ったら、こちらの記事も参考になります。↓↓
有機JAS認証の基準とは?
有機JAS認証を受けるには、次のような基準をクリアする必要があります。
- 化学農薬の不使用:基本的に使用禁止。使えるのは限られた天然由来のもののみ。
- 化学肥料の不使用:代わりに、堆肥などの有機肥料を使用します。
- 遺伝子組み換え技術の不使用:有機JASではGMO作物の使用は認められていません。
このように、自然環境への負荷を抑えた栽培方法が求められます。
※詳しくは、 農林水産省|有機JAS制度について にも載っていますよ。
有機とオーガニックは同じようでいて、実は少し違います。この2つの関係をきちんと知っておきたい方はこちらの記事をどうぞ。↓↓
有機栽培のメリット
有機栽培には、環境にも健康にもやさしいさまざまなメリットがあります。
健康への配慮
化学農薬や化学肥料を使わないため、残留農薬のリスクが少なく、体への負担が抑えられるのが大きな魅力です。
特に小さなお子さんやアレルギー体質の方にとっては安心感があります。
環境にやさしい
有機栽培は土や水を汚さず、自然のサイクルを大切にした農業です。
化学物質による汚染が少ないので、地球にやさしい持続可能な農法としても注目されています。
素材本来の味が楽しめる
農薬や化学肥料に頼らず育った作物は、野菜や果物の味が濃く、香りも豊かだといわれています。
食材の風味をしっかり味わいたい人にとって、有機栽培はぴったりです。
有機栽培のデメリット
有機栽培には多くの利点がありますが、取り入れるうえで知っておきたい課題もあります。
価格が高くなりやすい
有機栽培では化学肥料や農薬を使わない分、手間と時間がかかるため、生産コストが高くなりがちです。
その分販売価格も一般的な野菜より高めになる傾向があります。

有機野菜がちょっと高めなのは、手間ひまかけた栽培の証なんですね。
安定供給が難しい
病害虫の被害や天候の影響を受けやすく、収穫量が不安定になりやすいのが現実です。
そのため、いつでもどこでも手に入るとは限らない点には注意が必要です。
自然栽培とは?

「自然栽培」とは、農薬も肥料も一切使わず、自然の力にゆだねて作物を育てる農法です。有機栽培よりもさらに自然に近いアプローチで、堆肥さえも使わないのが特徴です。
農家は土が本来持っている力を最大限に引き出すことに力を注ぎます。畑の環境を整え、作物が自力で育つように見守る――まさに自然との対話のような農業です。
化学物質を避けたい方やより自然にこだわりたい方にとって、自然栽培は魅力的な選択肢と言えるでしょう。
自然栽培のメリット
有機栽培よりもさらに自然に近い形で作物を育てる「自然栽培」。ここでは自然栽培ならではのメリットについて見ていきましょう。
完全無農薬・無肥料で安心
自然栽培では、農薬も肥料も一切使いません。
堆肥さえも使わないため、化学物質の心配が一切ないというのが最大の魅力です。とことん自然にこだわった農法なので、体にやさしい食材を求める方にぴったりです。

人が守るより自然が導く。そんな育ち方をしている野菜には、命のリズムが宿っている気がします。
環境負荷が極めて少ない
化学農薬や肥料による土壌や水質の汚染が起きないため、自然環境に与える影響が最小限に抑えられます。
特に、土の中の微生物や生態系への配慮が必要な現代においては、持続可能な農業の理想形として注目されています。
自然な味わい
自然の力だけで育てられた作物は、素材本来の風味が引き立ちます。濃い味や香りではなく、素朴で優しい味わいが特徴。
「安心して食べられるだけでなく、味そのものが違う」と感じる方も少なくありません。
自然栽培のデメリット
魅力の多い自然栽培ですが、実践にはいくつかの課題もあります。導入前に知っておきたい注意点やデメリットについて整理しておきましょう。
生産がとても難しい
自然栽培は、農薬や肥料に頼らず自然の力だけで作物を育てる農法です。そのため害虫や病気に弱く、天候の影響も受けやすいという課題があります。
また土作りに何年もかかることもあり、農家さんにとってはかなりの労力と根気が必要です。
安定供給が難しい
生産量が少なく、収穫できる量も季節や環境によって大きく左右されるため、安定して市場に出回ることが難しいのが現状です。
そのためスーパーで見かけることはほとんどなく、専門の農家や宅配サービスを通して購入するケースが多くなります。
価格がかなり高め
手間がかかる分、価格も自然と高くなります。
特に自然栽培は有機栽培よりもさらに価格が高く設定されることが多いため、日常使いにはハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。
有機栽培と自然栽培の違い
どちらも「環境にやさしく、体に負担の少ない食材を育てる」という共通の目的を持っていますが、使える資材や栽培の考え方に明確な違いがあります。
まずは比較表で主なポイントを見てみましょう。

違いがすぐわかるから、どっちが自分に合ってるか考えやすいね。
比較項目 | 有機栽培 | 自然栽培 |
---|---|---|
農薬の使用 | 自然由来の農薬は使用可 | 一切使用しない |
肥料の使用 | 有機肥料(堆肥など)は使用可 | 肥料も使わず、土の力にまかせる |
認証制度 | 有機JAS認証あり(国の基準) | 認証制度はなく、農家ごとの取り組み |
生産の難易度 | 慣行栽培よりは難しいが可能 | 非常に難しい。知識と時間が必要 |
価格帯 | やや高め | さらに高めになる傾向 |
味や風味 | 素材本来の味が出やすい | よりナチュラルで力強い味わいに |
「自然栽培は有機栽培よりもさらに自然回帰を徹底した農法」と言われており何も足さず、自然の力にゆだねる姿勢が特徴です。
慣行栽培とは?
一般的な農業のことで、化学肥料や農薬を使用して安定した収穫量を得る栽培方法です。スーパーで手に入るほとんどの野菜や果物はこの方法で育てられています。
有機栽培と自然栽培どちらを選ぶべき?

有機栽培と自然栽培、それぞれに良さがあるとはいえ「どちらを選べばいいの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
ここでは、それぞれの農法がどんな人に向いているのかを簡単に整理してみました。
有機栽培を選ぶとよい人
自然栽培を選ぶとよい人
自分に合った選び方を見つけよう
有機栽培と自然栽培、どちらも環境や健康に配慮した素晴らしい農法です。ですが大切なのは、あなたのライフスタイルや考え方に合っているかどうか。
たとえば――
といったように、シーンによって使い分けるのもおすすめです。
無理なく続けることが、長く心地よく「体に優しい食生活」を続けるコツ。
「いつもこれじゃなきゃ!」と気負うのではなく、あなたの価値観にフィットしたほどよい選択を見つけてみてくださいね。
無農薬・無肥料の自然栽培も魅力的ですが、「無添加食品」についても知っておくと選択肢が広がります。メリット・デメリットをしっかり押さえて選びたい方はこちら。↓↓
まとめ
有機栽培と自然栽培は、どちらも「自然に寄り添った農法」であることに変わりはありません。
- 有機栽培は、認証制度があり安心感がある
- 自然栽培は、より自然に近い農法で希少性が高い
大切なのはそれぞれの特徴を正しく理解した上で、自分に合った選択ができることです。
どちらを選んでも、「環境や身体に優しい選択」につながります。
まずは興味のある食材から――
無理のない範囲で、自然と調和した食生活を取り入れてみてください。
きっと、食卓がもっと豊かに感じられるようになりますよ。
無理なく自然派の暮らしを始めたい方には、「ゆる無添加生活」もぴったりです。毎日の調味料から見直していくことで、気負わず心地よい変化が感じられますよ。↓↓